財務省函館税関
変革期にある税関業務とDREPがもたらす
人材育成の可能性
40年の経験から見た現場の変遷
税関に勤務して約40年。吉田氏はこれまで、監視取締業務、通関業務など幅広い現場を経験してきました。札幌・千歳をはじめ、岩手県大船渡市や東京など各地で勤務し、さらに税関研修所でも勤務するなど、多様なキャリアを積み重ねてきました。現在は総務部にて総務・人事業務などに携わっています。
入関当初はパソコンも今ほど普及しておらず、初期の表計算ソフトやデータベースソフトを用いた業務など、当時としては先端の仕事を経験しました。その後、職員の給与計算を担当した際に、WindowsやExcelの導入があり、業務環境も大きく変化してきたと吉田氏は振り返ります。

函館税関
総務部次長
吉田 昭彦 氏
税関業務におけるデジタル活用の重要性
近年、税関を取り巻く環境は大きく変化し続けていると吉田氏は感じています。出入国者数はコロナ禍以降V字回復しており、関税等の収入額は増加し、業務量も飛躍的に拡大。その中で、迅速かつ適正な通関手続きを実現するため、電子的な処理システムの整備が進められているそうです。
一方で、不正薬物の密輸取締りや知的財産侵害物品への対応など、機械だけでは対応しきれない業務も多く存在し、「職員の経験や知識をどのように継承し、デジタル化していくかが課題」と吉田氏は指摘します。
こうした背景のもと、財務省関税局と日本全国の税関で「スマート税関構想」が推進され、AIやデジタル技術の活用は不可欠な要素となるなか、同時に、これらを扱うデジタル人材の確保・育成も重要なテーマとなっているとの事です。
DREP導入の背景─組織全体の底上げを目指して
DREP導入の狙いについて、吉田氏は「組織全体の底上げ」と明言します。デジタル技術やデジタル人材の活用には、現場だけでなく管理者の理解が不可欠であり、まずは職員全体の知識水準を引き上げる必要があると考えたそうです。
「費用がかからずに受講できるメリットもあり、試行的に導入した結果、受講者からの評価は高く、AIやDX推進の必要性を改めて認識した」という吉田氏。現在では業務研修の一環として制度化し、対象者を徐々に拡大しているそうです。「AI・DX推進チームを中心に受講を開始し、今後は管理者層にも広げていく方針」と話してくれました。
組織風土の変化と人材獲得への期待
DREPの効果について、「短期間で劇的な変化が出るものではない」としつつも、徐々に組織へ浸透していくことに期待を寄せています。「特に、デジタルに理解のある職場としての認識が広がることで、採用面にも好影響が生まれる可能性がある」、さらに「若い世代が活躍できる環境を整えるためにも、管理者の理解が重要」とし、今までにも増してデジタルに前向きな組織風土の醸成を目指していくそうです。
まずは一歩踏み出すことが重要
最後に、DREP導入を検討する組織に向けて、「最初は難しく感じるかもしれないが、今後は不可欠な知識になる」と語ります。また、「個人のスキル向上が結果として組織全体の成長につながる」と、導入の意義を強調していただきました。
続いて、実際にDREPを受講いただいた坂東氏、蝦名氏からお話をお聞きしました。

函館税関
総務部人事課人事第二係長
坂東 健太郎 氏

函館税関
調査部情報管理官(通関情報部門担当)付調査官
蝦名 初音 氏
多様な現場経験から広がるキャリア
坂東氏は平成25年に入関後、新千歳空港にて航空貨物の通関業務を担当。その後、秋田にて海港における監視取締業務、さらに化学分析などの専門的な業務を経験し、現在は総務部人事課に所属しています。
一方、平成30年に入関した蝦名氏は、海上貨物の検査業務からキャリアをスタート。その後、収納業務や通関審査業務を経て、現在は調査部情報管理官にて業務に従事しています。両氏ともに多様な現場を経験しながら、専門性を高めてきました。
業務とともに深まるスキルと恵まれた学びの環境
坂東氏は「もともとデジタルは得意分野であり、業務でも自然に取り入れることができた」と語ります。一方、蝦名氏も小学生の頃から、パソコンに触れる環境にあり、「デジタルはこれからの時代に不可欠なもの」と教えられ、抵抗なく業務に適応されたとの事で、プログラムを組む業務などもこなされています。
税関内では研修機会も充実しており、VBAの経験やデータサイエンス研修、Pythonを利用したプログラミング研修など、実務に直結するスキルを学ぶ環境が整備されているそうです。こうした取り組みが、職員のデジタル対応力の底上げにつながっていると両氏は感じています。
基礎の再確認と新たなツールへの理解
DREPの受講について、坂東氏は「難しすぎる印象はなく、基礎用語の復習や新しい知識の習得につながった」と振り返ります。「特にBIツールに関する内容は印象的で、実際の活用イメージが持てた」と話します。
また、AI分野では演習を通じて理解を深めることができた一方、数式など専門的な内容については難しさもあったが、学習の奥深さも感じたそうです。
蝦名氏も「全体としてPhase2よりも分かりやすく改善されている」と評価していただき、「特に必要な情報がすぐ表示される用語解説機能が良かった」と印象を述べています。
今後への期待と学びの意義
今後のDREPに対して坂東氏からは、「より多くの演習を取り入れることで、受講者の理解と関心を高められる」との意見をいただきました。加えて「生成AIのプロンプト作成など、より実務に近い内容の充実」などにも期待を寄せています。また、「デジタルやAIの基礎知識は必ず自身の力になる」と強調されていました。
これから受講する方に向けて蝦名氏は、「今後は“知っていて当然”の時代になって行く中で、学び続けることが重要」と語り、継続的なスキル習得の必要性を示していただきました。
